Type of Credit: Elective
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今日の日本の地域社会学は、新しい課題に直面しながらも戦後以来の問題意識を連綿と持ち続けている。その関心は、単に地域社会を研究するというだけでなく、日本研究としても読めるものである。
社会学的な考え方に基づいて日本の地域社会を理解し、日本の特性に注意しながらそれがどのように理解されてきたのか、今にいたるまでどのような問題があるのかを考える。台湾が日本に関心を持つ文脈について、90年代以降の台湾の事情も説明しながら進める。単に社会学を学ぶだけでなく、日本と台湾に関する地域研究的な観点を学ぶ。
能力項目說明
今日の日本の地域社会は、新しい課題に直面しながらも戦後以来の問題意識を連綿と持ち続けている。
社会学的な考え方に基づいて日本の地域社会を理解し、それがどのように理解されてきたのか、今にいたるまでどのような問題があるのかを考える。台湾が日本に関心を持つ文脈について、90年代以降の台湾の事情も説明しながら進める。
教學週次Course Week | 彈性補充教學週次Flexible Supplemental Instruction Week | 彈性補充教學類別Flexible Supplemental Instruction Type |
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1.イントロダクション:はじめに
日本の地域社会学を理解することの意義について学ぶ。台湾の経験と照らし合わせながら学ぶ。地域研究的な考え方も併せて学ぶ。
2.地域研究と地域社会学
地域や地域研究がどのようにしてできあがってきたのかを考える。台湾の経験と照らし合わせながら考える。
3.農村社会学から地域社会学へ
日本の農村がどのように理解されてきたのか、それから地域社会学がどのように生まれたのかを考える。
4.都市社会学から地域社会学へ
日本の都市社会学は地域社会学の源流の一つだが、アメリカなどの都市社会学とはやや異なる特徴をもっている。日本的な都市社会学の特徴は何か、またそれがどのように地域社会学につながっていくのかを考える。
5.全国総合開発計画(全総)
全総は戦後日本の地域社会を大きく規定し、その発想は形を変えながらも続いている。全総の政策過程から、日本の地域社会の特徴を考える。
6.「抱きしめる」理論の登場
全総に対する同時代の理解を大きく相対化したのが2000年ごろ以降の「抱きしめる」理論であった。この理論の射程と現代のさらなる発展について考える。
7.日常生活の中の地域社会学
日本では台湾と同様、地域社会の政治活動は日々の生活そのものである。日々の生活で何がおきているのか、またなぜそうなるのかを考える。
8.中括
ここまで取り上げた、日本の地域社会を踏まえ、主に台湾の地域社会のまちづくりについて学生による調査分析、発表を行う。
9.コミュニティ論の誕生と挫折
英語のcommunity概念はかなり日本的な経路依存を経て日本に導入された。どうしてそうなったのか、コミュニティ概念の導入後誰がどのようにそれを発展させていったのかを考えたい。
10.リゾートバブルの構想と帰結
1980年代のバブル経済を今の視点から読み解く。日本中が狂気に踊らされていたバブルは、実は消費社会やポストモダンのはしりでもあった。バブルのころ何がおこったのか、それに続く遺産はどうなっているのかを考える。
11.若者と地域社会
地元志向が強いと言われる昨今の地方在住の若者に焦点を当てる。なぜそうなったのか、地方は若者にとってどのような場所なのかを考察する。
12.住民投票運動
住民投票運動は日本の地域社会に束の間の根源的民主主義をもたらした。55年体制の崩壊後、再建まで何がおこったのか、根源的民主主義によって何が変わったのかを考える。
13.平成の大合併と空間変容(リスケーリング)
2004-2005年に大きく進んだ平成の大合併は、昭和の大合併以来の地域社会学的な問題関心の延長と考えられる一方、新しい現象も様々登場した。海外の空間論の隆盛にも注意を払いつつ、平成の大合併について考える。
14.原発と震災
原発と震災は日本に大きな爪痕を残した。中でも特徴的なのは問題の長期化と「風評被害」である。震災とは何だったのか、なぜ被害がかように拡大したのかを考える。
15.地方創生
台湾と日本の相違に注意しながら地方創生の政策過程、実施について学ぶ。地方創生が持つ日本的な文脈と、国際的な研究潮流の違いにも注意する。
16.縮小社会のゆくえ
日本は欧米より急速に少子高齢化が進んできた。もちろん、台湾は日本より急激に少子高齢化が進んでいるが、日本は台湾より少し早く縮小社会に直面している。縮小する日本社会を見ることは、明日の台湾を占うことになるのか、ならないのか。日台の相違に注意しながら日本の経験について考える。
17.下町のリノベーションと再開発
台湾の下町同様、日本の下町もリノベーション、起業を含む「まちづくり」がさかんである。それは新自由主義にもとづく再開発を志向する一方、それだけでは片づけられないような面白さも含んでいる。リノベーションと再開発の矛盾に注意しながら、日本の経験を考察する。
18.まとめ
日本の市民社会について、学んだことを踏まえ、台湾、日本それぞれの市民社会の抱える課題と可能性について議論する。最終的には地域社会学的に日本と台湾療法を見渡せる視点を培養することを目的とする。
毎回の授業への参加(25%)、中間および最終発表(25%)、および最終レポート(50%)から評価する。ただし、最終レポート未提出の場合は評価しない。